助詞「は」と「が」の違いとその働き 1
助詞「は」と「が」の違いとその働き 2
今回は「は」と「が」の例外的に見える用法について、
助詞「は」と「が」の違いとその働き 1 でまとめた助詞の働きがどのような効果を表しているかを考えたい。
例8.「の中の」という意味合いを帯びる、助詞「は」の用法
例8−1.場所
例文:「北海道は札幌で雪まつりを見た。」
解釈:北海道にある札幌で雪まつりを見た。
解説:まず「北海道は」で北海道を脳内にイメージする。次に「札幌で」で認識の中から札幌のイメージを探すことになるが、すでに北海道のイメージが脳内に展開されているので、その中の札幌を特定して認識し、北海道のイメージに結び付ける。札幌を認識する際に北海道内にあることが意識されるので、「北海道にある札幌で」という解釈になる。
例8−2.時期
例文:「中学校は一年生の頃からの知り合いだ。」
解釈:(その人は)私が中学校において一年生だった頃からの知り合いだ。
解説:まず「中学校は」で中学校を脳内にイメージする。次に「一年生の頃」で認識の中から「一年生の頃」を特定するが、すでに中学校のイメージがあるのでその時の一年生の頃と特定できる。このセリフは語り手の意識で語られているので、語り手が中学校一年生だった頃と解釈できる。
この用法では、助詞「は」は「の中の」といった意味合いに置き換えて解釈できるが、他の用法を考えると助詞「は」自体にそういった意味合いがあるとは思えない。この用法では「AはB」の形式でBがAに含まれているという関係性があるので、助詞「は」によってAを意識し次にBを認識から特定してAに結び付けるという働きが行われる際に、Bが「Aの中のB」と認識されることでそのような意味合いが生じるのだと考える。
この用法では助詞「は」を省いても意味に変化はない。上の例で「北海道札幌で」「中学校一年生の頃」と言い換えてもまったく支障はない。なぜ「は」を入れるのかと考えると、一息に「北海道札幌で」のように語りだされると、聞き手はそういった情報が発信されると予想しておらず、焦って肝心な詳細を聞き漏らしかねない。そこでまず情報の大きな分類のほうを助詞「は」を使って意識させ、その後により詳細な情報を付加することで、相手に段階を追って正しく認識させようという狙いがあるものと推察する。この用法は口語的な印象があるが、文章で書かれているときは読み手はゆっくり時間をとって解釈できるので、こういった言い回しにする必要がないからだと思われる。
例9.語と語を複合語的に結びつける、助詞「が」の用法
「AがB」の形で単語Aと単語Bを結合してひとつの語のように使用する用法。
この使い方は慣用的に使われているものが多く、今はあまり使われない印象がある。
パターン1.地名などにみられる、固有名詞化する「が」
例:「桜が丘」「緑が池」など。
一般的な地形を表す語(丘、池など)の前にその土地固有の情報(桜、緑など)を「が」で結んで特定の場所を表すような用法。
「桜が丘」の例でいうと、あらかじめ「丘」が意識されていて、それを補足するために「桜」が結び付けられていると考える。以下にこの語の成り立ちを推測してみる。